日本臨床外科学会雑誌
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症例
病理組織学的にも類似し嚢胞性腫瘍の形態をとった尿膜管癌を合併したIPMNの1例
小林 慎二郎櫻井 丈小泉 哲朝倉 武士中野 浩小池 淳樹大坪 毅人
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2010 年 71 巻 4 号 p. 1030-1033

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抄録

症例は60歳,女性.検診で腫瘍マーカーの高値を指摘されて紹介,CEAが8.7ng/ml,CA19-9が51U/mlであった.膵尾部に30mm大の多房性嚢胞性腫瘍を認めた.同腫瘍は主膵管と連続しており,主膵管が拡張していたことから混合型IPMNと診断した.また,臍から腹腔内に突出するように70mm大の嚢胞性腫瘍を認めた.IPMNの転移性腫瘍である可能性も考えたが,IPMNがinvasive carcinomaとは考えにくいことから同時重複腫瘍と判断し膵体尾部切除術と臍腫瘍摘出術を施行した.病理所見でも両腫瘍は共に1層の高円柱上皮で被われた嚢胞性腫瘍で,IPMN(IPMC)と尿膜管癌と診断された.IPMNに合併した尿膜管癌の報告はわれわれが検索した限りではみられなかった.両者は形態的にも病理組織学的にも類似しており,興味深い症例と思われた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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