抄録
乳腺カルチノイドは稀な腫瘍で,多くは良好な予後を示すが,劇症型の再発死亡例もあり臨床上の取り扱いに問題が残る.著者らは術後9年の無再発生存例を経験し,予後の明らかな本邦26例をあわせ臨床的検討をした.63歳女性,左乳房に弾性硬,可動性のある腫瘤を触知.超音波とMRI検査は26×24mm大の境界明瞭で嚢胞と充実部分が混在する腫瘍を描出.針生検で乳癌と診断,乳房温存手術を施行した.HE染色では小型の核小体とクロマチン豊富な小型の腫瘍細胞が策状,ロゼット状に配列,Chromogranin A,Synaptophysin,NSE染色はいずれも陽性であった.T2 N0 Stage IIA,estrogen receptor(+).術後照射を追加,補助化学療法は施行していない.計27例の検討から,癌死率は約15%,手術時の転移は重要な予後因子,縮小手術は可能,リンパ転移例での化学療法の意義などが示唆された.