抄録
進行大腸癌に対して,緩和手術として人工肛門造設術が施行されるが,適応や成績,QOLへの寄与に関する報告はまれである.1999年から2007年までに人工肛門造設術を施行した切除不能進行大腸癌26例を対象に,患者背景因子,経口摂取期間,生存期間,予後因子(年齢,性別,BMI,PS,貧血,低栄養,腫瘍マーカー,腹膜播種,術後化学療法の有無)について検討した.平均年齢は72.9歳,男女比は19:7,切除不能因子はT因子が20例と最多であった.平均経口摂取開始日は4.9病日,50%経口摂取可能期間は160日,退院率は81%,術後在院のままでの死亡率は19%,50%生存期間は197日,最終入院時の平均入院期間は31.2日であった.術前PS低下と低栄養が有意な予後規定因子で,術後化学療法可能例は生存期間が長かった.切除不能進行大腸癌に対する人工肛門造設術は経口摂取と在宅療養の点でQOL向上に寄与していた.PS低下や低栄養を認める症例は適応を慎重に選ぶ必要がある.