抄録
症例は74歳,女性.入院14日前より腹痛を自覚した.近医を受診したが改善せず,発熱,臍下部の腫瘤も伴うようになり当院紹介入院した.入院時,体温38.1℃,臍下に発赤,圧痛を伴う腫瘤を認めた.腹部CTで横行結腸に接して腹腔内より腹壁に至る膿瘍を認めた.絶飲食とし抗生剤を投与したが,腹部CTで腹壁膿瘍の増大を認め,局所麻酔下に腹壁膿瘍のドレナージを施行した.経口摂取を開始後,腸閉塞症を併発しイレウス管を留置した.イレウス管を用いた注腸造影にて横行結腸に不整な狭窄を認め,腹壁膿瘍を合併した横行結腸癌および腸閉塞症と診断した.33病日,大網合併横行結腸部分切除術,D2郭清を施行した.病理検査結果は横行結腸癌,2型,tub1,SE,N0,StageII.術後補助化学療法を開始し,76病日に退院した.術後1年6カ月目の現在,再発を認めていない.本症例を含む腹壁膿瘍を合併した横行結腸癌本邦報告22例に検討を加えた.