日本臨床外科学会雑誌
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症例
下腸間膜動脈分岐異常によるイレウスの1例
黒崎 毅史木村 圭吾国土 泰孝村岡 篤立本 昭彦津村 眞
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2010 年 71 巻 7 号 p. 1888-1891

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抄録

下腸間膜動脈は腹腔内の動脈では比較的分岐異常の少ない動脈である.今回,われわれは下腸間膜動脈の分岐異常によりイレウスを発症した1症例を経験したので報告する.症例は52歳,男性.腹痛を主訴に来院した.腹部CTにて終末回腸近傍での閉塞性イレウスを認め,絞扼性イレウスも疑われたため,緊急手術を施行した.開腹すると,小腸は薄い膜に覆われていた.膜を切開すると終末回腸より約10~15cm口側の位置で索状物により閉塞していた.この索状物は上腸間膜動脈より分岐した下腸間膜動脈を含む腸間膜であった.絞扼腸管を一部切除し,吻合は下腸間膜動脈の前方で行った.第14病日に退院し,術後17カ月の現在腸閉塞の再発はなく,無症状にて経過中である.文献上,下腸間膜動脈の分岐異常によるイレウスは報告例がなく,極めて稀な症例を経験したので報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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