土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
Impacts of soil slaking and drying on release and retention of cations during desalinization from saline soil
Abul Hasnat Md. SHAMIMTakeo AKAE
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2011 年 118 巻 p. 3-11

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抄録

スレーキングの機構は,水の流入による土壌団粒の破壊であり,土壌が塩分を含む時,塩分を解放する過程を伴う.本論文の目的は、異なる初期含水状態での除塩において,スレーキングと乾燥が,陽イオンの外液中への排出と状態の移動に及ぼす影響を述べることである.初期含水比を変えた(60,50,40,30,20,10 % 重量含水比)自然土と風乾土へのスレーキングの効果を評価するため,スレーキング試験を行った.24 時間の水浸後,自然土と風乾土の全てのケースで, Na が卓越して排出された.最適スレーキング含水比にほぼ等しい比較的低い含水比(30 %)で最大の Na が解放され,スレーキング率が最低の含水比で,Na の排出は最も低かった.しかしながら,低すぎる含水比(10 %)は,それ以上のNa の解放に寄与しなかった.一方,外液中の他の陽イオン Ca, Mg,K の解放と初期含水比の間には特別な関係は認められなかった.ほとんど(60 ∼ 80 %) の Ca と Mg は,交換性サイトに停まり,外液中には僅かしか出て来ない.スレーキング後の土に残存する水溶性陽イオンは,Na » K > Mg > Caの順であり,これに対し,交換態の陽イオンの量は Na > Mg > Ca > K の順であった.全体として,外液中に解放された Na 量は自然土の方が風乾土よりも多かった.最適スレーキング含水比と,よりゆっくりとしたスレーキングが土壌からの Na の除塩により効率的であることが示された.

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© 2011 土壌物理学会
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