抄録
症例は73歳,胸部下部食道癌の診断で術前化学療法施行後,食道亜全摘,2領域リンパ節郭清,後縦隔胃管再建を施行した.手術翌日より腹部正中創の発赤認めたため創を開放し,培養施行した.正中創の発赤は次第に増大し,次第に黒色の壊死を伴うようになった.急性循環不全,呼吸状態の悪化を認め,腹部CT,上部消化管内視鏡を施行した.CTでは正中創周囲の脂肪濃度の著明な上昇を認めた.上部消化管内視鏡所見では胃管粘膜面の色調異常を認め,胃管の壊死を疑い,壊死胃管の確認と除去のため同日緊急手術(胃管抜去,食道廔造設,正中創のdebridment)を施行した.正中創の起因菌がAeromonas hydrophilaであり同菌感染による感染性ショックと診断した.術後,集中治療管理を要したが改善し,初回手術後62病日に食道廔閉鎖,右結腸再建,創部の植皮術の施行し,初回手術後143病日軽快退院とした.手術を契機に発症したAeromonas hydrophila感染の報告はまれであるが,急激な経過をとることが多く注意すべき術後合併症と考えられた.