抄録
ビデオゲームアーカイブ研究では、収集・保存に関する研究は進んでいる一方で、実際の利用提供に関する実証的研究は少ない。本研究では、立命館大学ゲーム研究センターにて、学生・教職員を対象とした資料閲覧・ゲームプレイサービスを提供し、利用者ニーズを調査した。過去の予備調査で得られた知見を基にコミュニケーションの発生、レトロゲームの興味、長時間滞在についての仮説を設定し、2024 年度に質問票調査と行動観察、回帰分析を実施した。その結果、利用者とゲーム経験豊富なスタッフとのコミュニケーションが特に発生しやすいこと、利用者はレトロゲームについての情報を友人や実況動画から得たり、最新のゲームよりもレトロゲームの利用を希望することがわかった。また、滞在時間に影響を与える要因として、所属キャンパス、学年、レトロゲーム利用経験などが有意であることが明らかになり、レトロゲームへの関心の質的な差異も利用行動に影響を与えることが示唆された。