抄録
症例は84歳,男性.51歳時に重症筋無力症を発症し,胸腺摘出術を施行されている.以降は抗コリンエステラーゼ薬の内服治療を受けていた.近医入院中に重症筋無力症が増悪したため当院へ救急搬送され,転院5日目に突然の下血と腹痛を認めた.腹部超音波検査と腹部造影CT検査で回盲部にterget signを認め,腸重積症と診断し,同日緊急開腹手術を施行した.Ileocolic typeの腸重積症と判明し,Hutchinson手技を試みたものの還納できなかったため回盲部切除を施行した.先進部の回腸には器質的病変を認めず,特発性腸重積症と考えられた.成人の特発性腸重積症はまれな疾患であり,なおかつ重症筋無力症に合併したとの報告はほとんどない.極めてまれな症例を経験したので報告する.