2011 年 72 巻 7 号 p. 1782-1785
症例は53歳,男性.2009年4月頃より,右下腹部腫瘤と痛みあり,近医を受診し,腹部エコーで,大腸癌の疑いで当院紹介.CTでは,腹腔内リンパ節腫大,多発性腹壁腫瘤,左肺に転移を疑う所見あり,下部内視鏡検査(CF)で,上行結腸に粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め,注腸検査では,さらに同部位に多発性憩室と回盲部狭窄を認め,5型進行癌の疑いで,入院.再度,CF,注腸検査施行したところ,回盲部狭窄は改善し,巨大ポリープも縮小し,生検でもGroupIのため,フォローとしたが,悪性リンパ腫も否定できなかったため,外来で,腹部MRI,PET-CT,Gaシンチを施行したが,炎症性変化であった.しかし,腹痛が改善せず,同年7月腹部CTで腸重積が疑われたため,上行結腸切除術,小腸部分切除術を施行した.病理の結果は,大腸憩室炎が起点となり,炎症によりIFPを伴い腸重積様画像を呈したと考えられた.