2012 年 73 巻 1 号 p. 75-79
回盲部原発のBurkittリンパ腫による成人腸重積症の1例を経験した.症例は76歳男性.上腹部痛を主訴に入院となった .その後,腹部エコーや腹部CTの結果,回盲部の腸重積症と診断し開腹手術を施行した.開腹すると,回腸が盲腸にはまり込んでおり,先進部に腫瘤を触知したため回盲部切除術,リンパ節郭清術を施行した.病理組織検査の結果,Burkittリンパ腫と診断し,化学療法を行い経過良好である.成人腸重積症はまれな疾患で,その約8割が腫瘍によるものである.その中では悪性リンパ腫の発生頻度は比較的高いが,Burkittリンパ腫はまれな疾患で,その予後は不良である.近年の化学療法の発展により寛解が望める疾患となりつつあるが,進行が極めて早く化学療法の早期導入が重要である.したがって,成人の腸重積症では早急に手術を含めた集学的治療を行う必要がある.