抄録
症例は73歳,女性.右下腹部の有痛性の腫瘤を主訴に当科受診した.初診時,右下腹部に手拳大の発赤を伴う腫瘤を認めた.CTで回盲部に巨大な腫瘍を認め,右下腹部に連続し腹壁に膿瘍を形成していた.Core needle biopsyにてmucious adenocarcinomaと診断した.盲腸癌または右卵巣原発腫瘍を疑い手術を施行した.腹腔内洗浄細胞診は陰性.肝転移,腹膜播種は認めなかった.腫瘍は,周囲臓器へ浸潤しており,右卵巣切除,子宮・膀胱部分切除,S状結腸部分切除を伴う右結腸切除・D2郭清を施行した.また腫瘍と連続した右下腹壁の膿瘍は,腹壁とともに合併切除した.病理診断にて,盲腸原発のmucinous adenocarcinomaと診断した.腹壁への浸潤は認めなかった.
腹壁膿瘍と多臓器浸潤を伴った巨大な盲腸癌を,周囲臓器とともに切除しえた1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.