2012 年 73 巻 12 号 p. 3072-3076
症例は48歳,女性.左乳房の腫瘤を自覚し当科受診した.マンモグラフィでは円形,辺縁微細鋸歯状の陰影を認め乳癌が疑われた.針生検にて乳癌と診断された.小型のhyperchromaticな腫瘍細胞がシート状に配列し,synaptophysin,chromogranin Aが陽性であることより組織型は小細胞癌が疑われた.術前化学療法として肺癌に準じてCBDCA(carboplatin)+VP16(etoposide)を4コース施行した.化学療法後の評価では腫瘍縮小効果を認め(Partial Response),引き続き乳房温存術を施行した.乳腺原発の小細胞癌は文献上まれであるが,若干の文献的考察を加え報告する.