日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸印環細胞癌の1例
沼賀 有紀石川 仁小林 純哉本田 勇二須納瀬 豊竹吉 泉
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キーワード: 印環細胞癌, 直腸
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3219-3225

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抄録

症例は70歳,男性.平成14年10月,水様性下痢を主訴に近医を受診した.注腸造影で直腸の狭窄を指摘され当科を受診し,精査加療目的に入院した.腫瘍マーカーを含め血液検査では異常なし.注腸造影検査で直腸Rbに全周性の狭窄像を認めた.下部消化管内視鏡検査では肛門縁より約5cmに全周性の病変を認めた.CT検査では直腸に全周性の腫瘍性病変を認めたが,明らかなリンパ節転移・遠隔転移はなかった.生検では悪性組織は得られなかったが,臨床的に直腸癌と診断し,11月に低位前方切除郭清術を施行した.腫瘍はRaRbを占拠する3型腫瘍で,粘膜病変の大きさに比べ深層への進展が顕著であった.病理学的にはsignet ring cell carcinoma,INF γ,se+a2,ly3,v2,n2(+)であった.補助療法を行ったが,術後2年目に癌性腹膜炎によるイレウスを発症し,術後約3年で死亡した.

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© 2012 日本臨床外科学会
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