2012 年 73 巻 2 号 p. 427-431
症例は12歳,女児.上腹部痛を主訴に近医受診し消化剤を処方されるも症状改善せず,本学小児科紹介となった.精査にて膵尾部に直径約50mmの類円形の腫瘤性病変を指摘され,手術目的で当科紹介入院となった.腹部CTにて膵尾部に径50mm大の類円形の腫瘤性病変を認めた.内部は大部分が嚢胞性成分で,一部隔壁を伴い辺縁部には造影にて濃染する充実成分を伴っていた.T1強調MRIでは,腫瘤内部は不均一で辺縁に高信号を認め腫瘍内出血が疑われた.出血を伴う膵solid pseudopapillary tumorの診断のもと腹腔鏡下脾温存膵尾部切除術を施行した.術後経過は良好で,第13病日に退院となった.膵の良性,あるいは本症例のようなborderlineの腫瘍は腹腔鏡下膵切除のような低侵襲性手術の良い適応であると考えられた.