2012 年 73 巻 3 号 p. 681-684
われわれはメソトレキセート(MTX)使用中の慢性関節リウマチ患者に発生した極めて稀なEpstein-Barr virus(EBV)関連脾臓原発悪性リンパ腫に対して,用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した1例を経験したので報告する.症例は80歳の女性で,約1年間MTXを内服中,2週間続く倦怠感と3日間続く39度台の弛張熱を主訴に受診した.左季肋部に叩打痛を認め,造影CTにて脾臓に多発する低吸収域を認めた.脾膿瘍を疑い抗菌薬,抗真菌薬投与にて経過を見たが,発熱が持続したため第7病日に用手補助腹腔鏡下脾臓摘出術を行った.脾臓割面には多発する白色結節を認め,病理組織学的所見はdiffuse large B-cell lymphomaで,EBER(EBV encoded small RNAs)陽性でありEBV関連脾臓原発悪性リンパ腫と診断した.