抄録
胸骨後ヘルニアは稀な疾患で,Morgagni孔ヘルニアとLarrey孔ヘルニアに分類される.今回われわれは心不全症状で発症したLarrey孔ヘルニアに対し,腹腔鏡下に整復しえた1例を経験したので報告する.
症例は75歳女性.労作時息切れを主訴に当院受診.胸部CTにて前縦隔に腹腔内と交通する脂肪組織を認め,MRIにてLarrey孔ヘルニアと診断,腹腔鏡下に整復を行った.ヘルニア門は5.0×3.5cm,ヘルニア内容は大網で,周囲との癒着は認めなかった.大網を整復し,ヘルニア門を鏡視下に結節縫合にて閉鎖した.メッシュ等は使用しなかった.経過良好で術後10日目に退院となった.外来フォローではヘルニア嚢内に水腫を認めたものの自覚症状無く,再発所見も認めなかった.
Larrey孔ヘルニアは胸骨後ヘルニアの5%程度を占め,無症状でも絞扼の危険があり,手術適応と言われる.本術式は簡便で,メッシュ等を使用しないため感染や癒着のリスクも少なく,早期離床が可能なことから有用と考えられる.