日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断が困難であった胃癌に併存した肝結核の1例
寺師 貴啓中村 俊彦大田 隆司田原 光一郎穴井 秀明森内 昭
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キーワード: 肝結核, 結核性腹膜炎, 胃癌
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2012 年 73 巻 4 号 p. 942-946

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抄録
症例は76歳,男性.主訴は39度台の発熱で,保存的加療後も再燃を繰り返すため造影CTを撮ると,肝S4,S5/6,S8に径3-7cm大の辺縁増強を伴う低吸収性腫瘤および複数の腹腔内リンパ節腫大を認めた.多発性肝膿瘍,炎症性リンパ節腫大と思われたが,症状軽快後にも腫瘤影が残存するため経皮的肝生検を施行し,炎症性肉芽腫と診断された.上部消化管内視鏡検査で胃癌を認め,肝腫瘤は転移も否定できないため,幽門側胃切除術と同時に肝腫瘤切除生検を施行した.病理組織所見にて肝腫瘤,腹膜結節,腹腔内リンパ節に乾酪壊死を伴った類上皮肉芽腫を認め,リンパ節に抗酸菌を検出した.喀痰,便はガフキー0号で,ツ反,クォンティフェロンTB検査(QFT)陽性であり,最終的に肝結核,結核性腹膜炎,結核性リンパ節炎と診断された.抗結核療法を施行し肝腫瘤は消失した.肝結核はまれではあるが,多発性肝腫瘤の鑑別診断に際しては,留意すべき疾患であると考えられた.
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© 2012 日本臨床外科学会
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