抄録
症例は74歳,男性.腹部膨満感を主訴に近隣の総合病院を受診.精査にて腹腔内を占拠する,胃壁由来と考えられる巨大腫瘤を認めたため,当科に紹介入院となった.門脈系を流出路とする富血管性の胃GISTの術前診断のもと,胃局所切除を伴う腫瘤摘除術を施行した.術後10日目に軽度の倦怠感が生じたため精査を行ったところ,門脈本幹から右枝を中心に血栓形成を認めたため,直ちにヘパリン15,000単位/日の持続静注・ワーファリン2mg内服の抗凝固療法を開始した.術後18日目の腹部CT検査では血栓は著明に縮小し,30日目には消失した.ワーファリン内服のみを継続したが再燃なく,術後33日目に退院となった.門脈系を流出路とする富血管性腫瘤の摘除時には,術後門脈血栓症の発症を念頭に置いておく必要があると考えられた.