抄録
症例は77歳女性で,突然の左上腹部痛を主訴として当院を受診した.腹部CTにて左上腹部に腫瘤を認め,網嚢内から膵体尾部に連続する嚢胞性病変を認めた.また生化学的検査でCRP 29.7mg/dlと高度の炎症反応を認めた.MRCPでは主膵管との交通はなく,2年前のMRIで膵尾部に認められていた径2.5cmの粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm)が網嚢内へ穿破したと考えて手術(胃全摘術,膵体尾部脾合併切除術,横行結腸左副腎部分切除術)を施行した.病理所見から浸潤性粘液性嚢胞腺癌(mucinous cystadenocarcinoma)が網嚢内に穿破して仮性嚢胞を形成したと診断した.膵粘液性嚢胞腺癌が自然破裂した症例は極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.