日本臨床外科学会雑誌
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症例
血清CEAが異常高値を呈した壊死型虚血性大腸炎の1例
小網 博之伊志嶺 朝成亀山 眞一郎松村 敏信伊佐 勉国島 睦意
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1716-1721

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抄録
症例は80歳,女性.臍下部痛と嘔吐を主訴に当院に搬送された.腹部は膨隆著明であったが腹膜刺激症状はなし.腹部CT検査では,大腸の拡張と腸管壁の造影増強不良,下行結腸に口径差を認めた.血液検査所見では,代謝性アシドーシスとCEA 559.1ng/mLと異常高値を示していた.広範大腸壊死を疑い緊急手術を行った.開腹すると上行結腸から下行結腸まで壊死しており,大腸亜全摘ならびに人工肛門造設術を行った.病理組織検査で壊死型虚血性大腸炎と診断された.免疫組織化学染色では,CEAは粘膜表層上皮や細胞質に染色性を認め,炎症性腸疾患と類似の発現形式と考えられた.第16病日にはCEA 2.4ng/mLと正常化し,第34病日に退院となった.高CEA血症の機序として粘膜上皮細胞内のCEAの排泄障害が示唆された.良性疾患でもCEAが上昇することを念頭におき高齢者の急性腹症においては本疾患も考慮すべきと思われた.
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© 2012 日本臨床外科学会
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