日本臨床外科学会雑誌
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症例
開腹ドレナージ術にて救命したClostridium perfringensによる肝膿瘍破裂の1例
佐藤 直哉北村 正敏菅野 博隆後藤 満一
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2014-2020

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抄録

症例は75歳,男性.急性発症の発熱および上腹部痛を主訴に来院した.腹部全体が板状硬で腹膜刺激症状を呈し,腹部造影CTにてfree airおよび肝右葉後区域S6内部にガス像を含む3cmのlow density areaを認めた.ガス産生性肝膿瘍破裂による急性腹膜炎と診断し,緊急開腹ドレナージ術を施行した.腹水細菌培養検査にてClostridium perfringens(以下C. perfringensと略記)が同定された.術後経過は良好で,第27病日に軽快退院した.同菌によるガス産生性肝膿瘍はまれであるが,溶血を合併すると予後不良となり,特にガス産生性肝膿瘍を認める場合には注意が必要である.本症例は発症後比較的短時間で治療しえたため,救命できたものと考えられた.C. perfringensに起因する肝膿瘍の1例を経験したため,病態と治療法につき文献的考察を加えて報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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