抄録
【目的と方法】市中病院におけるインスリン非依存状態糖尿病(NID)患者のGAD抗体陽性率と臨床的特徴を調べるため,大阪警察病院通院中のNID患者2110例についてGAD抗体を測定し,各種臨床データを検討した.【結果】GAD抗体陽性は39例,陽性率は1.85%(95%CI 1.27~2.42%)であった.GAD抗体価10 U/ml以上の高抗体価群は,低抗体価群に比して女性患者の割合が多く,空腹時血中C-peptideで評価したインスリン分泌能が悪く,BMIが低値の傾向にあるなどより典型的な1型症例に近い病像を示していた.一方,低抗体価群は,BMIやインスリン分泌能において2型糖尿病群と有意差がなかったが,インスリン治療導入患者の割合は有意に多かった(p<0.001).SUIT indexによりβ細胞機能を評価した結果,低抗体価群では2型糖尿病群に比して有意にSUIT indexの低下が認められた(p<0.01).【考察】GAD抗体陽性NID患者はGAD抗体が低抗体価であってもその病態は明らかに典型的な2型糖尿病群とは異なると考えられ,治療法の選択のためには,可能な限りNID症例全例についてGAD抗体検査を行うことも考慮すべきであることが示唆された.