2012 年 73 巻 8 号 p. 2021-2026
症例は90歳,女性.平成23年9月に発熱,食欲不振にて他院を受診した.精査目的で施行したCTで,緊満する胆嚢と肝外性に発育する腫瘍を認め,当院を紹介された.腹部造影CT検査,腹部造影MRI検査では,肝内側下区域より肝外に懸垂状に発育する約6cmの腫瘍を認め,腫瘍により胆嚢,十二指腸は圧排されていた.肝外発育型の非B非C型肝細胞癌と診断し,肝臓の一部とともに腫瘍を切除した.病理組織診断は,単純結節型で,中分化の肝細胞癌であった.非癌部に肝硬変の所見は認めなかった.術後は,合併症なく,第18病日で独歩退院となった.超高齢者の肝切除手術の場合,手術による侵襲を十分考慮する必要がある.全身状態が良好な場合,適応を厳密に考慮すれば,超高齢であっても積極的に外科切除を選択して良いと考えられた.