2012 年 73 巻 8 号 p. 2087-2092
症例は16歳,男性.平成18年頃から腹部膨満感を自覚しており,平成23年6月腹痛にて近医を受診し,腹部エコー検査で腹腔内腫瘤を認め当科へ紹介受診された.造影CT検査で腹腔内正中に最大径13cm大の造影効果のない多房性嚢胞性腫瘤を認め,一部低濃度成分と高濃度成分がfluid-fluid-levelを形成していた.また,腹部MRIではT1・T2強調像でともに低~高信号域が混在していた.以上から出血を反復した腸間膜リンパ管腫と診断し開腹手術を施行した.術中所見では,Treitz靱帯近傍の空腸間膜に10cm大の腫瘍を認め,近接した空腸の部分切除を伴う小腸間膜腫瘍切除術を施行した.術後病理組織学的に腸間膜リンパ管腫の診断を得た.小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患であり,自験例を含めた本邦報告30例について文献的検討を加え報告する.