抄録
腰部には上腰三角,下腰三角と呼ばれる2つの腹壁抵抗減弱部があり,この部位に腰ヘルニアを発症することがある.今回,腸骨移植片採取後に,下腰三角をヘルニア門とする下腰ヘルニアを発症した1例を経験した.症例は77歳女性.1年4カ月前に左大腿骨骨折手術後の偽関節を認め,左腸骨移植片採取による骨形成修復術を施行した.その手術後から左腰部膨隆を認めたため当科紹介となった.左腰部に20cm大の膨隆を認め,腹部CTでは左腸骨稜付近の筋層から皮下に小腸脱出を認めた.腸骨移植片採取後の腹壁ヘルニアと診断し,全身麻酔下にヘルニア根治術を施行した.下葉三角に筋欠損部を認める下腰ヘルニアであり,Prolene hernia system®を用いて修復した.術後経過は良好であり,術後約2年経過したが再発を認めていない.腸骨移植片採取術後に腰部膨隆所見を認めた場合には,下腰ヘルニアも鑑別に入れるべきであると考えられた.