抄録
孤立性肺転移をきたした甲状腺乳頭癌の2症例を経験した.症例1:73歳,女性.直腸癌術後定期検査の肺CTで左S10cに辺縁明瞭な円形の孤立腫瘤陰影を認めた.胸腔鏡下肺部分切除を行い,病理組織検査で甲状腺乳頭癌肺転移の診断.その後,甲状腺全摘術および放射性ヨード治療を行った.術後10年,無再発生存中である.症例2:52歳,女性.50歳時に甲状腺乳頭癌に対し甲状腺全摘術を受けているが,同時に発見された孤立性肺結節を2年後に胸腔鏡下で切除,病理組織学的に甲状腺乳頭癌であった.追加治療として放射性ヨード治療を行い,8年間無再発生存中.甲状腺乳頭癌の転移形式は一般的には多発結節または粟粒状で,孤立性肺転移はきわめてまれであるが,自験例のごとく非典型的な症例の存在も考慮し,粗大結節型肺転移に対しては,非切除の場合の放射性ヨード治療が期待できないことから,診断と治療を兼ねた切除が望ましいと考える.