抄録
症例は56歳,女性.以前よりSjögren症候群の乾燥症状があった.検診で胸部異常陰影を指摘され当院受診し,胸部CT検査で甲状腺右葉に石灰化を伴う腫瘤を認めた.腫瘤に対し超音波ガイド下に穿刺細胞診を行い乳頭癌と診断した.抗Tg抗体が高値より慢性甲状腺炎が疑われ,リウマトイド因子・γ-グロブリン・IgG・抗核抗体・抗SS-A抗体・抗SS-B抗体も高値を示した.手術は,胸骨甲状筋・輪状甲状筋の部分切除,気管漿膜浸潤部のshavingおよび甲状腺全摘術+D2bを行った.最終診断は,慢性甲状腺炎併存右甲状腺乳頭癌,T4a,N1b,M0,Ex2(胸骨甲状筋,輪状甲状筋,気管),StageIVAであった.術後1年頃には乾燥症状は改善し,術後3年目までには,抗核抗体価は低下,抗SS-B抗体・抗Tg抗体価の正常化が得られたことより,両者の発症機序に共通の免疫機構の異常─自己抗体の関与─が推測された.