日本臨床外科学会雑誌
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症例
表層拡大型を示した表在性食道粘表皮癌の1例
熊谷 洋一相田 順子落合 高徳山崎 繁河野 辰幸田久保 海誉
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2251-2257

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抄録

症例は,61歳,女性.特に症状なく検診にて食道の異常を指摘され来院した.上部消化管透視,内視鏡検査にてLt領域に長径6cmの0-IIc病変を認めた.Lt,0-IIc,T1bN0M0 cStageIの診断にて右開胸開腹胸部食道亜全摘3領域郭清胸骨後経路胃管再建術を行った.切除標本肉眼所見では,Lt領域の長径60mm,発赤調の表層拡大型0-IIc病変であった.病理組織学的所見では,粘膜内から粘膜下層まで浸潤するSM2の食道癌であった.扁平上皮癌が上皮内で全層性に増殖し,浸潤部を中心に印環細胞様で胞体にPAS(periodic acid-Schiff)-alcian blue染色陽性の粘液を有する腺癌細胞が多数見られ粘表皮癌pT1b(SM2),pN2,pStageIIと診断した.本症例は,上皮内扁平上皮癌の成分を有しており,その発生母地は扁平上皮にあると推測された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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