日本臨床外科学会雑誌
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症例
抗凝固薬内服中に胆嚢出血をきたした1例
岩崎 渉小棚木 均佐藤 公彦最上 希一郎吉楽 拓哉小棚木 圭
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2329-2333

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抄録
86歳女性,心房細動があり,抗凝固薬を内服していた.就寝中に腹痛が出現し,当院救急外来を受診.右季肋部を中心に圧痛,筋性防御を認め,腹部単純CTで胆嚢の著明な腫大と内部に血腫を認めた.造影CTの動脈相では胆嚢動脈の末梢に5mm大の円形の高吸収域を認め,動脈瘤が疑われた.胆嚢出血の診断で緊急手術を行った.開腹すると,暗赤色に腫大した胆嚢を認め,胆嚢周囲に血性膿性腹水を認めたため胆嚢摘出術を施行した.切除標本では胆嚢内に大量の凝血塊と血液を認めたが,結石なく,動脈瘤・露出血管も不明であった.病理所見では胆嚢壁に中等度のリンパ球浸潤と線維化,びまん性の出血を認めた.本症例では炎症により出血が起きやすくなっていた状態に,抗凝固薬を内服していたことが加わり胆嚢出血が引き起こされたと推測された.今後高齢者の増加に伴い本症例のように抗凝固薬内服により胆嚢出血を来たす症例が増えてくることが示唆される.
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© 2012 日本臨床外科学会
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