抄録
外傷に伴う胆嚢内出血を手術的に加療した症例を経験したので報告する.症例は36歳男性.飲酒後の交通外傷で当院へ救急搬送された.来院時,右前胸部痛から季肋部の痛みを訴えており,造影CTで緊満した胆嚢の中に明らかな造影剤の漏出があり,胆嚢内の出血性損傷と診断した.右季肋部痛を除いて全身状態は安定していたが,凝血塊による胆嚢管の閉塞,胆嚢炎などの可能性を踏まえ,第8病日に胆嚢摘出術を施行した.胆嚢内には大量の凝血塊を認めていた.胆嚢内出血の報告例は散見されるが,外傷に伴う胆嚢内出血の報告は,われわれが検索しえた範囲では本邦で23症例とまれな病態である.経過観察のみで治癒した症例が5例あり,その損傷形態,程度によっては経過観察も可能であると言えるが,症状改善後に急性胆嚢炎をきたし緊急手術になった症例もあることから,明らかな活動性の出血を認める場合は手術を考慮すべきであると考える.