日本臨床外科学会雑誌
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症例
経皮経腸ドレナージが有効であった膵頭十二指腸切除術後挙上空腸悪性狭窄の1例
河合 清貴堀 明洋森岡 淳松葉 秀基三輪 知弘松村 卓樹
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2363-2366

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抄録

症例は75歳の男性で,17カ月前に結腸粘液癌術後再発に対して膵頭十二指腸切除術,Child変法再建を施行された.術後化学療法施行中に腹腔内再発と肺転移を認め,悪液質の進行もあり緩和治療中であったが再発巣の増大に伴う挙上空腸狭窄と閉塞性黄疸,胆管炎を発症した.化膿性胆管炎や凝固障害など急速に重篤化する可能性があるため,経皮経腸ドレナージを行った.膵管胆管チューブ抜去瘢痕部より拡張したWitzel式固定空腸内に12Frアスピレーションキットを挿入した.ドレナージによる合併症を伴うことなく胆管炎は収束し,腸管減圧により上腹部痛消失と食思不振の改善を認めた.膵頭十二指腸切除術後再発による挙上空腸狭窄に惹起される閉塞性黄疸や胆管炎に対し,全身状態不良な患者でも安全かつ迅速にドレナージが可能な本手技は有効な一手段と考えられた.

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© 2012 日本臨床外科学会
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