日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭十二指腸切除術を施行した腸回転異常を伴う膵頭部癌の1例
大和田 洋平松尾 亮太池田 治中山 健田野井 智倫大河内 信弘
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2012 年 73 巻 9 号 p. 2367-2371

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抄録

症例は54歳,男性.食欲不振と黄疸の精査目的に入院した.腹部CT検査で膵鈎部に径30mm大の腫瘍を認め,十二指腸は下十二指腸曲付近で屈曲・閉塞していた.十二指腸水平脚は存在せず,小腸は左側に偏位した上行結腸の右側に存在し腸回転異常症と診断した.減黄後に膵頭十二指腸切除術を施行した.手術所見ではNonrotation typeの腸回転異常症であり,腫瘍による引きつれを軸として十二指腸が屈曲・閉塞していた.再建は上行結腸右側の小腸を挙上しChild変法で行い,腸回転異常に対する腸管固定術は行わなかった.術後の経口摂取は良好で術後14日目に退院した.腸回転異常を合併した症例に対する膵頭十二指腸切除術の報告は非常に稀であり報告する.

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© 2012 日本臨床外科学会
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