日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝細胞癌完全自然壊死の1例
片山 雄介森永 聡一郎沼田 正勝五代 天偉益田 宗孝赤池 信
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キーワード: 肝細胞癌, 自然壊死
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2863-2868

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抄録

症例は74歳,男性で各種ウィルスマーカーは陰性.腹部の重苦しさを主訴に近医を受診,腹部超音波で肝右葉に腫瘤を指摘され,当院紹介受診した.MRIで肝S6/5に8cm大の腫瘤性病変を認め,ダイナミック造影で腫瘤内部に動脈相で造影効果があり,門脈相でwash outされる所見を認めた.肝細胞癌の診断で肝S6亜区域切除+S5部分切除を施行した.腫瘤は境界明瞭な被膜を有し内部には壊死物質が認められた.病理組織学的所見では被膜内の細胞は広範に壊死し,viableな腫瘍細胞は認められなかった.腫瘍内部に類洞様の支持組織を認め,肝細胞癌が完全に自然壊死に陥ったものと考えられた.また,背景肝に異常所見はなかった.今回われわれは正常肝より発生した肝細胞癌が完全に自然壊死した極めてまれな症例を経験したので報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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