日本臨床外科学会雑誌
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症例
間質性肺炎治療中に大腸腸管嚢腫様気腫症を呈した1例
大谷 弘樹牧原 重喜
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2013 年 74 巻 2 号 p. 442-446

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抄録

症例は79歳,女性.約8カ月前に間質性肺炎と診断され,ステロイド剤と免疫抑制剤により長期治療中であった.数時間前より右下腹部痛と腹部膨満が出現して腹部CT検査を施行したところ,回盲部から下行結腸にかけて腸管壁周囲に気腫性変化を認め,後腹膜気腫や腹腔内遊離ガス像の出現もみられた.消化管穿孔を否定できず緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内に腹水を少量認めたが便汁や食物残渣などによる汚染腹水は認めなかった.全消化管を検索したが明らかな穿孔部位は認められず,腹腔内遊離ガス像の原因は大腸腸管壁の気腫性変化によるものと判断し腹腔内ドレナージ術を施行して閉腹した.
今回,われわれは間質性肺炎に対してステロイド剤や免疫抑制剤による治療中に腸管嚢腫様気腫(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)を発症した1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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