主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 34
開催地: 東京都
開催日: 2018/07/13 - 2018/07/15
人々の住環境を利用するニホンザル群(以下,加害群)と人々との軋轢は,1970年代後半から今に至るまで社会問題となっている。そうした事態に対し,被害を及ぼすニホンザルそのもの,被害が発生している環境,被害管理をおこなう人間側の3つを対象に被害管理が進められてきた。猿による被害(猿害)は,ニホンザルが,山の食物ではなく農作物などの人工物を食物として選ぶことによって起こるが,加害群の農地採食に関する研究は,自然群と比較すると少ない。したがって,現在の被害対策が,農地採食にどのように影響し,実際の被害軽減にどのような影響を及ぼしているのか,といった視点での研究も不足している。そこで本研究は,加害群の採食パッチとしての農地等の利用実態を明らかにし,現在進められている被害管理とどのような関連があるのかを明らかにした。調査地は兵庫県篠山市で,調査対象は篠山市に生息する5群のなかで最も加害レベルの高いC群とした。調査地では,できる限り人馴れを進めない形で,テレメトリなどを用いて群れの遊動を調査した。C群が集落周辺に滞在している場合は,集落内の田畑に出没しているかどうかのエピソードとその内容(田畑に侵入した個体数,性別,行動)を秒単位で記録した。採食行動を観察できた場合には時間と行動をアドリミナリーに記録した。また,遊動域内で取り組んでいる被害対策についても,情報を整理した。これらから,ニホンザル加害群を対象とした採食行動研究の可能性と課題ついて考察する。