抄録
症例は66歳,男性.65歳時に右肺扁平上皮癌に対し右中下葉切除を施行した.術後1年目の検査で膵体部に腫瘤を認め,膵悪性腫瘍が疑われたためERCP下に擦過細胞診を施行し,Class V(腺扁平上皮癌)と診断された.原発性または転移性膵癌の術前診断で膵体尾部切除を施行した.膵病変は腺扁平上皮癌であり,11pリンパ節に転移がみられた.肺癌の病理学的所見と総合した結果,転移性膵癌と診断した.他臓器転移や局所再発の所見はなく,孤立性転移と考えられた.術後24カ月で原病死した.肺癌の膵転移はまれではないが多発他臓器転移の一部分症であることが多く,切除の対象になることは少ないと考えられ,切除例の報告は本邦で19例のみである.一方で,孤立性膵転移に対しては切除後長期予後が得られた症例も報告されており,症例を選べば積極的な外科的治療の対象になり得ると考えられた.