日本臨床外科学会雑誌
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症例
97歳にて発症したMorgagni孔ヘルニア嵌頓の1例
佐々木 量矢坂本 俊樹松井 聡斎藤 節
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1467-1472

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抄録

症例は97歳,男性.上腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部単純CTにてMorgagni孔に嵌入する横行結腸と大網を認め,Morgagni孔ヘルニア嵌頓と診断した.疼痛は次第に増強し,ヘルニア内容の血流障害を否定できなかった.一方で超高齢,心筋梗塞・心不全の既往,抗血栓療法中などの高リスクから手術適応の判断に苦慮したが,御家族が手術を希望され緊急開腹となった.手術所見では嵌頓した横行結腸や大網は用手的に還納され,軽度の血流障害を認めるのみであり壊死や穿孔は認めなかった.ヘルニア門は3×3.5cmであり,ヘルニア嚢は処理せず縫合閉鎖のみを行い,短時間にて手術を終了した.術後肺炎を併発したが軽快し自宅退院となり,現在102歳にて存命である.
1990年以降本邦で報告されている,超高齢者に発症したMorgagni孔ヘルニア症例において,自験例は13例目,最高齢,唯一の男性であった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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