抄録
S状結腸癌が孤立性副腎転移で再発し切除した1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は75歳の男性.イレウスをきたしたS状結腸癌に対し,S状結腸切除・人工肛門造設術を施行した.病理所見ではリンパ節転移を伴う高分化管状腺癌であった.補助療法としてCapecitabine療法を6カ月施行した後に,人工肛門閉鎖術を施行した.原発巣切除から1年6カ月に施行したCTで右副腎腫瘤を認めた.FDG-PETを含む精査の結果,孤立性再発と診断し,右副腎切除術を施行した.切除標本の病理所見は管状腺癌の転移であった.補助療法として5FU/LV療法を6カ月施行し,副腎切除後1年6カ月経過し再々発を認めていない.本邦における大腸癌の副腎転移切除の報告は46例であり,なかでも副腎にのみ転移が認められた孤立性副腎転移は21例と稀であった.