抄録
症例は75歳,男性.両側鼠径ヘルニアを認め,左陰嚢内にはS状結腸が脱出し陰嚢内に硬い腫瘍を触知した.還納は困難であったが脱出による疼痛はなく,CTでの造影効果も良好で血流障害はないと診断し,待機にて腹腔鏡根治術を施行した.腹腔鏡下にリンパ節郭清,結腸間膜の処理,口側・肛門側の腸管の離断を行い,鼠径部に皮膚切開を行い,ヘルニア嚢に包んだ状態でS状結腸の摘出を行った.術後経過は良好で術後11日目に退院した.今回経験した症例はヘルニア嚢内腫瘍と分類され,S状結腸癌では左側に,盲腸癌では右側に多く報告されている.今回,術前にS状結腸癌によるヘルニア嚢内腫瘍と診断し,腹腔鏡下根治術を施行した症例を経験したので報告する.