2013 年 74 巻 7 号 p. 1876-1881
症例は47歳,女性.昆布を摂食した翌日より腹痛を訴え前医を受診した.イレウスの診断にて保存的加療を行うも改善せず当院転院後,手術を施行した.Treitz靱帯より180cmの空腸内に堅い内容物が詰まっており,イレウスの原因となっていた.空腸を切開し摘出すると摂食した昆布であった.内容物の摘出後,切開創を縫合し腸管を切除せず終了した.術後イレウスの再燃はなかった.食餌性イレウスは時々見られる疾患であるが,昆布が原因となっている症例は本邦に特有であり比較的まれである.今回われわれは昆布により発症した食餌性イレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.