日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
胃切除後症例に発生した酸性洗剤誤飲による腐食性小腸狭窄の1例
橘高 弘忠田代 圭太郎秋元 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 7 号 p. 1882-1885

詳細
抄録

症例は73歳,男性.穿孔性胃潰瘍とイレウスで頻回の開腹歴がある.某日トイレ用酸性洗剤(サンポールTM)約20mlを誤って服用し当センター搬入となった.上腹部を最強点とした強い圧痛と反跳痛を認めたが,単純CT検査でfree airを認めず,保存的加療となった.腹痛は徐々に改善したが,第15病日より嘔吐が出現したため消化管造影検査を行うと,十二指腸水平脚から空腸起始部に狭窄を認め,第21病日に内視鏡下バルーン拡張術を行った.その後,再狭窄が出現したため2回目のバルーン拡張術を行ったが,腸管穿孔をきたし同日緊急開腹術となった.開腹すると,Treitz靱帯から5cm肛門側空腸に5mm長の穿孔を認め,同部の単純縫合閉鎖と胃空腸吻合術によるバイパスを行った.術後9日目に吻合部縫合不全を認め,開腹術を行い縫合修復と大網被覆術を行った.再度リークを認め長期ドレナージを要したが,第90病日に軽快転院となった.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top