日本臨床外科学会雑誌
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症例
リンパ節転移が腹部腫瘤として発見された多発性小腸カルチノイドの1例
井原 健冨松 裕明亀岡 信悟
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1904-1908

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抄録

症例は75歳,男性.左下腹部に30mm大の腫瘤を自覚して当院を受診した.造影CTで造影効果のある,MRIでT1,T2とも低信号の小腸間膜内充実性腫瘤を認め,小腸との連続性なく,GISTまたは悪性リンパ腫瘍と診断した手術を施行した.腫瘤は小腸間膜内リンパ節転移と考え,全小腸の検索で腫瘍近傍の小腸に4つの小病変を触知したため,小腸切除とリンパ節郭清を行った.病理結果はリンパ節転移を伴う4つの多発性小腸カルチノイド(neuroendcrine tumor:NET)であった.
小腸NETは本邦では珍しく,術前診断が難しいが,本症例のように転移リンパ節が大きいことで発見された症例が過去にも報告されている.小腸NETは多発することがあり,術前・術中に十分に小腸病変の検索を行うことが望ましい.

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© 2013 日本臨床外科学会
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