日本臨床外科学会雑誌
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症例
腎癌術後再発との鑑別に苦慮した後腹膜線維症の1例
村田 聡一郎山崎 将人山崎 一人小杉 千弘首藤 潔彦幸田 圭史
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2296-2299

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抄録
後腹膜線維症は後腹膜の疎性結合組織の線維化によって起こる疾患で比較的稀な疾患である.今回腎癌の再発との鑑別に苦慮した1例を経験したので報告する.症例は73歳女性.左腎細胞癌に対して開腹左腎摘出術を施行され,T3aN0M0 Stage IIIであった.8カ月後膵尾部に45mm大の腫瘤性病変が出現した.病変は脾門部内側と膵尾部下方に連続しており,左腎癌の再発または残存病変の増大と診断した.術後9カ月目に腫瘤切除術を施行した.腫瘤は周囲臓器と剥離困難であったため,膵体尾部・脾合併切除に加えて,横行結腸,横隔膜,腹壁の部分切除を追加した.割面は灰白色充実調であった.腫瘤には線維性間質があり,上皮成分は認められず,β-cateninが陽性であった.病理診断は腎癌再発ではなく後腹膜線維症であった.後腹膜線維症の約30%は手術歴などに起因した続発性であり,悪性疾患の再発が疑われる場合本疾患も考慮する必要があると考えられた.
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© 2013 日本臨床外科学会
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