抄録
症例は50歳,女性.前日から持続する腹痛と嘔気のため当院を受診した.来院時,腹部所見で右上腹部の圧痛,下腹部の膨隆を認めるも腹膜刺激症状は認めなかった.腹部造影CT検査では少量の腹水と大腸が全体的に拡張し,右結腸曲がWinslow孔から網嚢内に嵌入し,拡張している所見を認めた.Winslow孔ヘルニアによる結腸イレウスの診断で同日緊急手術を施行した.開腹したところ,3横指大のWinslow孔に約20cm長の右結腸曲が嵌入していた.小網側より用手的に整復可能で,結腸の壊死所見は認めなかったため,腸切除は施行しなかった.術後経過良好で術後12日目に退院とした.嵌入臓器が結腸であった極めて稀なWinslow孔ヘルニアの症例を経験したので報告する.