2013 年 74 巻 9 号 p. 2434-2440
症例は37歳,男性.検診の胸部X線写真で異常陰影を指摘され当院受診した.胸部CTで右中葉に10×20mm大の結節を認めたが,本人希望により経過観察となった.初回CTより6カ月経過後の胸部CTで結節は21×42mmと増大しており悪性腫瘍が疑われた.PET/CTを施行し,肺病変以外にも骨および腹部リンパ節にFDGの集積を認め,肺腫瘍からの骨および腹部リンパ節転移が疑われた.経気管支肺生検を施行したが診断がつかなかった為,診断目的で胸腔鏡下に肺腫瘍摘出術を施行し,悪性黒色腫と診断された.背部のホクロ様色素斑が自然消退していった既往が術後本人からの病歴聴取にて確認されたが,背部に自然消退後の形跡はなく皮膚病変は確認できなかった.悪性黒色腫の皮膚病変からの肺・骨・リンパ節転移が推測されたが,皮膚病変があったとする証拠が得られなかった為,原発巣不明悪性黒色腫と診断した.