2014 年 75 巻 1 号 p. 6-11
2006年から2011年8月まで当院にて施行した開腹および鏡視下で施行された胃全摘術と幽門側胃切除術結腸前RY再建症例290例を対象に,当院にて施行した胃癌根治術RY再建後の内ヘルニア症例につきretrospectiveに検討した.全症例中8例(2.8%)に内ヘルニアを認め,開腹胃切除術後が2例(1.5%)で腹腔鏡下胃切除術後が6例(3.8%)であり統計学的な有意差は認めなかったが,腹腔鏡下胃切除術に多い傾向を認めた.胃全摘術に限定すると腹腔鏡下胃全摘術では77例中5例(6.5%)に内ヘルニア発症を認め開腹胃全摘術より有意に多かった.発症様式はPetersen's herniaを5例,残りの3例は空腸間膜隙での内ヘルニアであった.胃癌根治術後RY再建では鏡視下手術において内ヘルニアの危険性が高くなる傾向があり,特に胃全摘では明らかな有意差をもってリスクが増加した.