抄録
目的:幽門保存胃切除術(PPG)の臨床的適応の設定.対象と方法:胃癌の根治手術として幽門側胃切除および胃全摘術,リンパ節郭清D1以上を行った2,173例を対象とし,腫瘍径,壁深達度,腫瘍-幽門輪距離および幽門周囲リンパ節転移の有無について再検討.結果:腫瘍-幽門輪距離が長いほど,壁深達度が浅いほど幽門周囲リンパ節転移率は低かった.腫瘍-幽門輪距離が5cm以上のpT1症例で幽門周囲リンパ節転移陽性の5例はいずれも腫瘍径2cm以上のSM癌であった.腫瘍-幽門輪距離が5cm以上のcM癌と腫瘍径2cm未満のcSM癌を臨床的PPGの適応と設定し臨床的所見から再検討すると,1例(0.2%)のリンパ節転移陽性例を認めたが,本症例はD2郭清施行後4年で骨転移再発した特殊例であった.結語:腫瘍-幽門輪距離が5cm以上離れたM癌と腫瘍径2cm未満のSM癌は,根治度を損ねない臨床的PPGの適応と考えた.