日本臨床外科学会雑誌
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症例
健常若年女性に発症したFusobacteriumによる特発性細菌性腹膜炎の1例
武田 光正中島 紳太郎阿南 匡衛藤 謙小村 伸朗矢永 勝彦
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2014 年 75 巻 10 号 p. 2877-2882

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抄録
症例は24歳の女性で,2012年末にマレーシアに10日間渡航していた.帰国時に腹痛,下痢が出現し,帰国3日目に近医で急性胃腸炎と診断され投薬が行われたが,同8日目に腹痛が増悪し当院救急部に搬送となった.腹部全体で腹膜刺激症状陽性で,血液ガスで高度の代謝性アシドーシス,腹部CTで腹水の貯留と門脈ガスを認め,腸管壊死を疑い緊急開腹術を施行した.約1Lの膿性腹水を認め,大網は捻転などなかったが黒色調で壊死を疑い切除した.全消化管を検索したが絞扼・壊死・穿孔はなかった.産婦人科医によって内性器の評価を行ったが異常所見はなく,洗浄・ドレナージで手術を終了した.後日,術中腹水からFusobacteriumが検出され、これによる特発性腹膜炎と診断した.特発性腹膜炎は明らかな腹腔内感染源なしに細菌性の汎発性腹膜炎をきたす疾患と定義され,基礎疾患のない若年者の発症は非常に稀である.文献的考察を加え報告した.
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© 2014 日本臨床外科学会
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