抄録
症例は77歳,女性.糖尿病,慢性腎不全にて血液透析を受けつつ療養入院中,嘔吐・腹痛を主訴に前医受診した.前医受診時,血圧低下を認めショックの状態であった.汎発性腹膜炎の診断で当院紹介となった.腹部造影CT検査にて腹水の貯留と腸管の拡張を認めた.腸管虚血による汎発性腹膜炎を疑い,同日緊急手術施行した.術中,消化管に異常を認めなかった.多量の白色膿汁の流出があり,膀胱壁は広範囲に壊死しており,膀胱頂部が黒色変化を伴い2箇所穿孔していた.膀胱壊死,破裂の診断で単純膀胱全摘術を施行した.自験例では透析患者の慢性膀胱炎に起因する壊死性膀胱炎による膀胱破裂が考えられた.壊死性膀胱炎による膀胱破裂はわれわれが検索しえる範囲では自験例を含め5例の報告のみであり非常に稀な病態であった.術前診断が困難であり,予後も不良であった.文献的考察を加えて報告する.